酒を飲んで震えることと歩けなくなることと



僕は以前からアルコール類が苦手です。
ビールもほとんど飲むことができず、日本酒や焼酎ももちろん。
アルコール度数の違いも分からないほど酒には弱く、なにを飲んでも酔っ払ってしまいます。
酔っ払うといっても上機嫌になり楽しく時間が過ごせるわけではなく、すぐに具合の悪さがやって来てしまうため、場を乱さないように緊張感が高まり、迷惑をかけることのないようにと気を遣い続ける時間になります。
もちろん体調が良く、舐める程度ならば楽しいのかもしれませんが、往々にしてそれでは済まないのが酒の席です。
今となっては僕の知り合いや客先では、僕が飲めないことは知れ渡っているので、お酌をされることも求められることもありませんが、20代のころは「飲めば強くなる」と言われたり「吐けば強くなる」と言われたりで、何度も辛い思いをしました。
実際、家に帰ってから吐くこともあったし、路上で吐くこともありました。
記憶を失うことはありませんでしたが、強烈な頭痛が続き、吐いたところで次回の酒の席で強くなっているわけでも無く。
「少量でも晩酌をして慣れる」ということを耳にして買って冷蔵庫にしまってみたものの、初めの一口が進まないので晩酌にもなりませんでした。
飲めない僕なりに苦労をして酒を克服しようとしてきたのですが、過去に2度、失敗をしたと思っていることがあります。
2度のどちらも、会社の忘年会でした。
それぞれ別の会社ですが、最初のときは若かったこともあり全員にお酌をしてまわり、返杯を受け、味も分からないのでビールや日本酒を勧められるがまま飲んでいました。
昼から始まった忘年会は夕方には終わり、そのころには家に帰ることもできないほどフラフラしていたため送ってもらって帰宅しましたが、気の緩みからか寝転んだまま起き上がれず、強烈な寒気を感じながら震え、やがて強い頭痛がやってくるということになりました。
このままどうなっていくのだろうかと思いながら、起き上がれないので酒を吐き出すこともできず、そのまま翌朝を迎えました。
2度目はそれから数年経って30代に入ってからでした。
こちらはあまり記憶が無く、飲んで歩けるほどだったものの家まで辿り着くことができなそうだったので、会社に泊まることにしました。
応接セットのソファに横になると震えが来て、吐き気がしても起き上がれず、頭痛を抱えたままの時間が過ぎていきます。
深夜になり、社内で起き上がれないままの僕は、以前にもなったことを思い出しながら頭痛に耐えていました。
このことは僕なりの酒の失敗談として、ときどき語るのですが、昨年末のことです。
地区の集まりがあり、ここに済んで間も無い僕は気が進まないながらも出席しました。
見慣れない顔がきたことと、歓迎の意味を込めてか、僕より年配の方々が代わる代わるビールを注いでくれます。
僕としては早い段階でお茶を手にしたかったのですが、そもそもビールの本数が多い上にビールやジュースは1本ずつ程度しか無く、女性の近くに置かれていたため、僕はそこまで足を運ぶこともできませんでした。
そうこうしているうちに、ちびちびとでも飲む量が増えたのか、頭痛がやってきてしまい、口に含むことも辛くなってきました。
なんとか最後まで迷惑をかけることも無く、家路についてひとりで歩いて帰ることもできました。
ただ玄関に入ったとたん、気持ちが緩んだのか床に倒れ込んでしまい、起き上がることができなくなっていまいました。
物音に妻が気が付いてくれましたが、数日前から妻に怒られ肩身の狭い思いをしていたせいか涙が止まらなくなり、そのうちに呼吸もままならなくなり。
指先を震わせたまま言葉にならない声しか出ず、涙と鼻水とを垂れ流して横になっている時間が続きました。
妻が心配してくれる様子を子供もマネをして僕の背中をさすってくれて。
なんとかトイレに連れて行ってもらいましたが、吐き出すことはできず、指先のコントロールができないために紙を取って鼻を拭くこともできず。
僕自身、なぜそうなったのか分からなかったのですが、酒が入って感情が高ぶったのだと考えています。
妻から叱られることも辛いですし、それで肩身が狭くなってしまうのも辛いですし。
どちらも自分自身が招いたことではありますが、先のことに悲観した気持ちで感情が大きくなって涙になったのではと。
乱れた呼吸のせいで言葉も出ず、アルコールのせいなのか、呼吸のせいなのか震えも止まらず。
妻は僕の顔が青いことと指先が冷たいことを心配し、救急車を呼ぶことと親を呼ぶことを大きな声で言っていた気がします。

■■質問箱というのを置いてみました
ココから