妻は出張後に静かな嵐を巻き起こす



そんなことをしても寂しさが募るばかりだということが分からないものなのかと思います。
最終電車に揺られ、遠方の出張から帰りました。
家に着くのは日付が変わる手前です。
外出中もいろいろなご連絡を受けていて、夜遅くなるけども今日のうちにという仕事を残して家に着きます。
打ち合わせが終わり、帰宅時間が読めた時点で妻には連絡を入れます。
きっと子供の面倒や家のことが忙しくて、電話に出ることすらままならないこと、呼びつけられたくないだろうということも思い、時間だけ告げます。
最近、妻とLINEのIDを交換し、主な連絡手段はLINEへと変わると思っていました。
もともと妻はメールをしても返事はこず、趣旨が伝わったかどうか分からないどこではなく、見たかどうかも分からない人です。
それがLINEのIDをと言ってきたので、連絡手段としてコミュニケーションが取れるものができたと思っていました。
しかしメールがLINEに変わっても、結局は見てもいなければ、見たところで返事はありません。
帰宅時間を告げ、既読になったかどうかも分からないまま家へと向かいドアを開けると玄関の電気が点けっぱなしでした。
僕のために電気を点けておいてくれたのか、それとも実家のように電気を点けっぱなしにする決まりにしたのか。
妻は何かと実家と同じにしたがります。
僕にとって意味の分からないことでも、妻にとっては効率的で慣れた風景なのだと思います。
点けっぱなしだった電気を消し、リビングのドアを静かに開けると、様々な物が散乱し、きっと子供の相手をするので忙しかったのだろうと思いました。
いつもはテーブルの上に用意されている夕食も、この日は物が置かれているだけです。
忙しかったんだろう。
僕はこの言葉だけを繰り返して、あまり音を立てないようにドアを閉めました。
いつも出張から帰るとテーブルの上に食事がありました。
冷えていても。
スーパーの惣菜でも。
何か食べる物が用意されていました。
きっと子供とのことで慌ただしく時間が過ぎていった。
そう思いながら、日付を跨いでデスクで出張明けの残務を片付けました。
朝、妻は母と口げんかをしたことを伝えてきました。
朝から表情が暗く様子もおかしかったので、その話で合点がいきました。
僕も疲れて帰ってきて、すぐに寝られるわけではなく1時2時まで仕事をして休み、夕食も抜いています。
でもそれはいつものことと言えばそれで片付けることができ、留守中に妻がひとりで子守りをしていたことや、親とのケンカのことを思えば、大したことでは無いと思います。
その後、親とのケンカでの発想からか、実家から受け取った使わない物は返して良いのかと僕に尋ねてきました。
そもそものケンカの原因は、「いらない」と伝えていた物を送りつけてきて、「いらないと言った」と親に言ったら「そんなことを言われるとは思わなかった」と返されたこと、さらには過去のことをあれこれと言われたことが原因だったそうです。
きっと家にある受け取ったけど使えていない物を無くして身軽になりたいのだろうと思います。
妻の母のことは関係性も話しの内容も分かりませんが、僕の親が預けてきたものは、生活に必要だろうと思われるもの、良かれと思って準備をしていたものでした。
まだ誰も来ませんが、来客があった場合の座布団、子供が生まれた場合のベビーベッド、布団。
自分で買って準備をするのではなく、余っているから、いつか家を持ったときに使って欲しいからと渡された物でした。
妻の母が送ってきた物は、賞味期限が1ヶ月を切った大量のジャム。
着なくなった服。
それを一緒にされるのも違うだろうと思いますし、このタイミングでの「返して良いのか」という言葉は、僕にとっては八つ当たり以外のなにものでもありません。
さらに、これからは水場の掃除は自分でやるようにとゴム手袋を渡されました。
もう自分ではやらないそうです。
役割として任されることはやぶさかではありませんが、このタイミングと、その言いようはどうなのでしょうか。
時間が過ぎ、仕事場へ入ると、出張の留守中に部屋に入った形跡がありました。
いずれココにも何か言いたいことが伝えられるのだろうと思います。
「ずっと前から思っていた」
という言葉と合わせて。

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