文字の無い手紙




時折、お通夜のような日を迎えます。
妻の父を亡くした記憶が蘇る度に、その日は悲しい時間が過ごします。
昨日、妻の実家で義父愛用のメモ帳が見つかりました。
いつどんな予定なのかが書き込まれた手帳。
どんな生活を送っていたのか、何をしていたのか、
それを見ると生前の様子がまぶたに浮かぶようです。
義母と電話をしていた妻が、話し終えてから泣いていたので話を聞くと、
遺品の整理をしていた母が、ふとその手帳を開いたそうです。
見覚えのある字と、そういえばそんなこともあったと思い出す予定。
ページをめくると真っ白で何も書き込まれていない1ページがありました。
よく見ると筆圧だけで感謝の言葉と、
先に逝ってしまうことへの謝罪が書いてありました。
誰にも見られないようにインクを出さずに書いたのか、
一度書いたものを捨てて跡だけが残ったのか。。。
そこから読み取れる言葉を聞くと、
病気に苦しみながらも誰にも分からないように、
周りの家族が心配しすぎないようにと気を配っていたように
感じられました。
まだ耳に残っている声が
その手紙を読み上げている気にもなるような
思いのこもったものでした。
僕は早くいつものような生活に戻りたくて、
義父の思いを持ったまま、変わらないことが
できるようにと思っていますが、
妻は完全に気が抜けてしまう日もあり、
しばらくは気持ちを維持するのが大変かもしれません。